蜘蛛巣城 みた

 

Directors’ 100 Greatest Films of All Timeを全部見るぞ 1/100 

蜘蛛巣城

 

U-NEXTで視聴。

 

白黒映画を観る機会はあまりなく、しかも私にとっては初・黒澤明作品。世界のクロサワ。心して鑑賞しよう。

 

いや、なんて言ってるか全然わかんねぇ…

 

冒頭、家来が城主に戦況を報告するシーンから始まるのだが

「ヷッヷヷヷッ…ヷッヷヷヷヷヷッッ!!……ア゙ア゙ア゙ッッ!!!」

 

……。

 

(汚いちいかわかな…)

 

 

「何を言いたいのかわからない」映画はまだしも「何を言ってるのかわからない」映画は流石に…禁じ手を使う罪悪感も多少はあったが、Wikipediaを頼ることにした。おかげで大分見やすくなった。集合知万歳。

 

<感想>

ラストシーン良かった

 かの有名な「三船敏郎に降り注ぐ矢」。終盤、三船扮する鷲津は予言に縋りつき勝利を妄信し、己と部下を鼓舞する狂気的なまでの猛々しさを見せるのだが、その妄想が一瞬で崩れ去る裏切りの矢の嵐。自身に迫る矢をただただ恐れ、逃げ惑う「純粋な恐怖」の表情は圧巻。

奥さん良かった

 三船敏郎は勿論のこと、山田五十鈴の演技も実に見事。序盤、予言を信じ覇道を行くか主君への忠誠を取るかで葛藤する夫に対し、奥さんの考えはキッパリ「前進あるのみ」。目的の為なら自分の手を汚すことも厭わない姿勢は始終まごまごしている夫より余程毅然として武士らしい。その彼女の行き着く先である(これもまた有名シーンだが)「血が取れぬ」の狂気っぷりがまた凄まじい。能面のような無表情で、子供をあやすような口ぶりでうわ言をつぶやく彼女の視線の先には流産してしまった子供がいたのではないかと思わせるのがまた切ない。

三船敏郎はどうすれば幸せになったのか

 この映画を見て考えさせられてしまったのが、「三船夫妻の選択は間違っていたのか」という疑問。超有名古典「マクベス」を下敷きにしてるだけあり、作り手も「こいつら不幸になるよ」オーラをガンガン出す演出をするし、視聴者も半ば結末を了解した上で観ていると思う。つまり、我々は「予言を信じて忠義を捨て覇道を行くことが破滅に続く間違った道である」ことがわかってるのだ。

しかし、作中の三船達にそんなことはわからない。だから自分の忠義を取るか、野望を取るかで迷ってしまうのだ。

この「野望」というのは、現代のいわゆる成長神話の圧力にも通じる気がする。
「現状に満足するな、もっと出世しろ!」「もっと頑張ればこんなに良い人生が送れるよ!」こうしたメッセージは巷に溢れており、仮にその結果に破滅(人間関係の悪化、健康状態の悪化など、まぁいろんなケースはあるだろう)があると予想できたとしても、我々はこの成長レースから逃げられない。鷲津の狂乱は、現代を生きる我々の問題でもあるのではないか。